14.立地の知識その1:法的要件


  • 当たり前ですが「不動」産は不動なので、立地は一度決めたら動かせません。あとから変更が効かないので妥協は禁物です。
  • まず物件情報から、「用途地域」を確認しましょう。用途地域は「都市計画法」によって定められており、下部の用途地域ではそもそも宿泊業は営めませんので注意してください。
  • 対象の『行政区画名 用途地域』で検索すれば、各自治体が公表しているサイトが見つかりますので、自分で物件の住所から用途地域を調べることもできます。

宿泊業が営めない用途地域

 その物件が位置している場所が、住居専用地域(一種二種及び低層・中高層問わず)または工業地域や工業専用地域の場合アウト!

  • たとえマイソクに用途地域の記載があっても自分で自治体のサイトで再確認することをおすすめします。
  • 例えば、以下の東京都台東区の場合ですと用途地域だけでなく、建蔽率容積率も分かります。80/600などの数字がありますが、これは建蔽率80%、容積率600%の意味ですからね。さらにそこが防火地域準防火地域かもわかります。これらの情報は、物件を購入する際はとても重要になってくるので要注意です。

不動産を購入するなら

 賃貸ではなく物件を購入する場合や増改築する場合は、特に上記の作業は重要です。以下の知識と合わせて要チェックです。

建蔽率=土地面積に対しての建築面積(簡単に言えば一階面積のサイズ)の割合。

容積率=土地面積に対しての延べ床面積の割合。

 例えば200平米の土地でも建蔽率50%、容積率200%の場所なら、最大でも延べ床面積200平米の2階建てまでしか建てられません。

 逆に100平米の土地でも建蔽率80%、容積率400%の場所なら最大延べ床面積400平米の5階建てが建築できることになります。

 なお建蔽率はその土地が角地だったり、防火地域内で且つ耐火建築の建物を建てる場合だったりすると数値がアップすることがあります


用途地域以外の注意事項

 用途地域がクリアできても以下の場合はアウトです。注意してください。

  • 旗竿地(右図のような土地)はアウト。大勢の一斉避難に難があるからです。
  • 防火地域にある、耐火建築物でない100㎡超または3階以上の建物物件はアウト
  • 準防火地域にある、耐火建築物でない1500㎡超または3階以上の建物物件はアウト
  • 浄化槽が埋まっている物件もアウト。現法では違法。

  • 容積率の緩和を受けている地階部分もアウト。特にそこが半地下だったり、駐車場・駐輪場だったりした場合は要注意。改装すれば素敵なスペースに見えるその場所が建築時に容積率の緩和を受けていたら、駐車場用途以外では使えません。

コラム:窓先空地とは

  • 用途地域以外で立地で注意しなければいけないのは、「窓先空地」です。窓先空地とはその名の通り、窓の前の土地には一定の空地を設ける決まりのことです。これがないと有事の際、脱出できないため、「建築基準法」で定められています。
  • 通常、建物の共用部分が道路に面していれば良いのですが、東京都や横浜市は条例によって、建築面積に応じて1.5m~の通路に各部屋の窓が面しており、且つその通路から道路に出れることが要件として定められています。立地を見る際は建物と土地と道路の関係も見てください。部屋割りに影響を与えます