10.ゲストハウスの収益率・稼働率


  • 宿泊事業のみで仮定する場合、粗利率は50%程度(※1)で考えるのが妥当。(光熱費に始まり、人件費や賃貸の場合は家賃(購入なら返済金)もあるため)よって粗利は以下で弾き出せます。

     収用人数×営業日数×稼働率×一泊平均単価×50%=粗利

  • つまり同じ稼働率と平均部屋単価の場合、規模が小さいとそのまま粗利も小さくなります

     10名×300日×稼働率60%×@3000円×50%=270万円

     30名×300日×稼働率60%×@3000円×50%=810万円

  • よって規模が小さければ小さいほど高い稼働率でないと利益がでにくいことになります(※2)

(※1)統計データはJnet21、中小企業庁、政策金融公庫などのHPから業種別でとれますが、ホテルと旅館業のみで簡易宿泊業のデータはないことが多いです。簡易宿泊業はセルフサービス的雰囲気が強く、サービス提供の費用が小さいので、精緻に計算すればもう少し高い粗利率になるでしょう。

 

(※2)ゲストハウスにはゲスト同士のあるいはホストとゲスト間の「つながり」が生まれる場所としての期待が顧客にはあります。旅行者に対してのホスピタリティが宿の評価に直結するタイプの宿泊施設ですので、小規模だからこそ生まれる顧客との距離の近さを存分に活かすことを心がけましょう。小規模=不利というわけではないのです。


稼働率の見積もりかた

  • 稼働率はゲストハウスなら70%程度で見積もりたいとこですが、現実はもっと低いです(※)。
  • 365日のうち週末の割合が約30%。この週末のみが満室になると仮定して、年間稼働率30%で計画がまわると実現性の高い、良い計画といえるでしょう。
  • そのため場合によっては収用人数を減らして逆にゆったりレイアウトで単価を上げることで、計画をまわす方法もあります。
  • 小規模ゲストハウスは、その他の事業の副収入もかなり重要になってくるわけです。このあたりは開業時情報の項目で扱います。

(※)立地やエリアに大きく左右されますが、「観光庁の宿泊旅行統計調査」では全国平均で簡易宿泊所は夏場を除き30%を超えることはありません。浅草周辺、京都市内、金沢市内、札幌市内など需要が盛んなエリアは50%以上でもOKかもしれませんが。